第4章 良心的な投資信託の選び方

よい投資信託を見極める10の条件

国内で販売されている投資信託は2000種類を超えています。中には手数料が高いだけのものや、人気がなくて運用中止になりそうなものなど、あまりお勧めではない投資信託も混ざっています。

どうしたら、そうしたハズレの投資信託を避けて、良心的な投資信託を選べるでしょうか。ここでは、良心的な投資信託を選び出す10の条件をあげてみました。

1.信託報酬が安いかどうか

これまでの実績がどんなに素晴らしい投資信託であっても、将来の実績が約束されているわけではありません。一方で、信託報酬はあらかじめコストとして決定しています。信託報酬が高いから立派な運用をしてくれる、よい結果がでる確率が高まる、なんてことは残念ながらありませんし、「アクティブとインデックス、どちらを選ぶ?」で説明したように、信託報酬を差し引く分だけ実績は下がります。

良心的な信託報酬の目安としては、「債券に投資する投資信託の場合はおおよそ1%以下」「株式に投資する投資信託の場合、信託報酬はおおよそ1.5%以下」くらいではないでしょうか。

2.販売手数料が安いかどうか

いまや投資信託はWebブラウザからマウスをクリックして買える時代です。そんな投資信託なら、販売手数料なんてゼロでもいいはず。買う前に窓口でゆっくり説明を受けるための手数料だとしても、安いに越したことはありません。目安としては、高くてもせめて1%台。最近は"ノーロード"と呼ばれる販売手数料ゼロのものも増えてきましたので、そういうものを選びたいですね。

3.償還時期は無期限が望ましい

投資信託は10年、20年という長期投資が基本。「5年後に償還予定」などと決まっていたら長期投資にはなりません。償還期限を確認して、できるだけ長いものを選びたいもの。できるなら長期投資をしたいだけ続けさせてもらえる、無期限のものがよいでしょう。

4.分配金は出さないほうが有利

最近は、毎月分配型のように頻繁に分配する投資信託が人気ですが、分配回数が多いと、お金を増やすのに不利になります。長期間、投資信託を保有してお金を増やしたいならば、できるだけ分配しないほうが実績がよくなりますので、毎月分配や年に4回の分配を予定している投資信託は問題外です。分配は決算のときに行われますので、1年に1度だけ、決算が予定されている投資信託を選びたいものです。

5.純資産が30億円を超えているか?

純資産が小さい投資信託は、運用が途中で打ち切られ、強制償還されてしまう可能性があります。強制償還されなくとも、純資産が小さいおかげでコストの比率が高くなってしまったり、使えるコストが少ないために思い通りの運用ができない可能性もあるそうです。いくつかの書籍や雑誌などの情報を総合すると、順調に投資信託の運用を行うにはだいたい30億円以上の純資産があれば安心とのこと。

6.運用実績が3年以上あるか?

運用開始の当初は、いろいろな手続きでコストがかかったり、運用の試行錯誤なども予想されます。おおむね3年以上経過していれば運用も安定してくるはずです。

7.分配金の再投資が可能かどうか?

分配金が再投資可能な投資信託なら、分配金が出ると販売手数料がかからずに、自動的にその投資信託に再投資されて、元本に組み込まれます。手間もかかりませんし、元本が自動的に増えて複利の効果でお金が増えていきます。

長期投資で、複利でお金を増やしていきたいなら、断然、再投資可能な投資信託を選びましょう。「累投型」「分配金再投資型」「自動けいぞく投資コース」などが選べるのならば、それは再投資可能な投資信託です。

8.積み立て可能かどうか

積み立て可能な投資信託(あるいは証券会社)を選ぶと、毎月、自動的にMMFや銀行口座から引き落としてくれるので、ラクチンで確実。毎月決まった額で、少しずつ投資信託を購入しする「ドル・コスト平均法」が、手間をかけずに実践できます。

9.運用方針に共感できるか

どの投資信託にも運用方針があります。その運用方針に共感できるかどうか、投資信託を選ぶ際にはよく資料を読むことが必要ですね。

10.複数の金融機関が扱っているか

複数の金融機関が扱っている投資信託の方が、販売が安定している可能性が高いでしょう。特定の銀行や証券会社が販売しなくなっただけで販売中止になってしまう、といったリスクもなくなり、運用の安定につながると思います。同様に、投資信託の資産が急に減ったり、増えたりすることも運用にはよくないことですので、純資産額の変動もチェックするとよいでしょう。

ここではできるだけベーシックな条件をあげたつもりですが、もちろん、人によってどんな条件を重視するかは変わってきます。これらを参考にして、自分なりの条件を考えてみてください。

次の項目から、ここであげた条件の中でも大事なポイントをもう少し詳しく説明していきます。

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(最終更新 2008年8月17日)

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