第1章 いますぐ分かる投資信託

本当に定期預金や株や外貨よりもいいの?

投資信託は本当に、定期預金よりも有利で、株よりもラクチン、外貨よりも安定した収益を期待できるのでしょうか。それぞれと比べてみることにします。

定期預金よりも有利?

銀行の定期預金は元本が保障されています。一方で、証券会社のMMFや中期国債ファンド、公社債投信などは元本は保証されていません。

この違いが主な要因で、MMFや中期国債ファンド、公社債投信などは一般的に銀行の定期預金よりも少しだけ利回りが高くなることが多くなっています。しかも元本が保障されていないとはいえ、これらの商品が過去に元本割れしたことはほとんどありません。

2008年8月時点で代表的な銀行と証券会社として、三菱東京UFJ銀行の定期預金と、野村證券のMMFの利回りを比べてみましょう。定期預金は1年定期で0.35%、3年定期で0.45%。一方でMMFは年換算の利回りが0.513%でした。

一般論として、証券会社で提供している「ほぼ元本保証」のMMFや中期国債ファンド、公社債投信などは、定期預金よりも有利な利回りを実現しています。

株よりもラクチン?

株を買う前には、どの銘柄を買うべきかよく研究する必要があります。間違った会社に投資すると、株価が半分になったり、最悪の場合は紙くずになるかもしれません。また、株価もときどきチェックしておかないと、儲けのタイミングをはずしてしまったり、暴落に巻き込まれたりするかもしれません。

もちろん投資したらずっと保有する、というスタイルもありますが、そのためにはどの会社が長期的に有望か、やはりよく調べなければならないでしょう。

投資信託も、購入前にはもちろんどの投資信託がよいのか、いろいろ調べなければなりませんが、選択を間違っても、買うタイミングを間違ったとしても、価値がいきなり半分になったりすることはありませんし、ましてや紙くず同然になることはまずありません。

これは一般に、1本の投資信託は数十から数百の株式や債券に分散投資することで運用されているからです。たとえその中の1社が倒産したとしても数%のインパクトしかありません。分散投資による運用のおかげで、市場全体の暴落でもないかぎり、投資信託の価値がいきなり半分になる、ということはめったにありません。ですから僕たちも、心配して価格をつねにチェックする、なんてことをしなくても済みます。

そもそも、投資信託は長期間保有することで効果を発揮します。売り買いのタイミングに悩む必要がないのです。

外貨よりも安定した収益?

外貨預金は為替相場が変動することで価値が変動します。これが為替の変動リスクなのですが、複数の通貨に投資していくことで、大きな為替の変動リスクを抑えることができるようになります。すなわち、ここでも分散投資が得意な投資信託の特徴が大きな利点となってきます。

一般的に、銀行や証券会社で外貨預金ができる通貨は10種類もないと思いますが、投資信託では20カ国以上に投資するものが簡単に購入できます。また為替変動リスクを回避する為替ヘッジでの運用を選べる投資信託もあります。こうした仕組みによって、投資信託は通常の外貨預金より安定した運用をしつつ、収益を期待することができるのです。

第1章 いますぐ分かる投資信託
本当に定期預金や株や外貨よりもいいの?
(最終更新 2008年8月15日)

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