第3章 種類別、投資信託の特徴を知る

コラム:相談窓口で情報収集できたことなんてない

僕は、投資信託の情報を集めるために何度か証券会社や銀行の窓口をたずねたことがあるのですが、残念ながらいままでいちども「なるほど、そうですか」という適切な説明を受けたことがありません。

しかも、最近は以前にも増して、銀行や証券会社の相談窓口で投資信託の情報を集めることが難しくなってきていると感じます。

それはなぜかというと、相談窓口がコンサルティング化して、商品説明から遠ざかっている感じがするためです。実際に僕が相談窓口で経験している会話を、フィクションとして再現してみましょう。

相談カウンターに座る僕。
「すいません、投資信託について教えてもらいたいのですが」
「はい、どういったことでしょう」
「日本の株式に投資する投資信託で、こちらで扱っている商品について教えてもらえませんか」

「分かりました、ではまずこちらのアンケートにお答えいただけませんか?」
「いえ、こちらで扱っている投資信託のパンフレットと報告書などの情報を教えてほしいだけなのですが」
「まずお客様の投資経験やリスク許容度などを把握してからでないと、個別の商品のご紹介ができないことになっております」
「今日買いたい、というわけではなくて、個別の商品についての情報を知りたいだけなのですが」
「すいません。個別の商品のご紹介だけというのはできない決まりになっておりまして」

しぶしぶアンケートに答えます。こんなアンケートです。
1.投資信託を購入したことはありますか? YES
2.株式投資の経験はありますか? YES
3.投資するお金は何年後かに使う予定がありますか? NO
4.投資方針として次のどれがあてはまりますか?
(a-絶対損したくない、b-多少の損は覚悟しても儲けたい c-損する可能性があってもかまわないので大きく儲けたい) c
5.投資も目的は? 老後の資金

「ありがとうございます」
カチカチカチ(アンケートの結果を機械で読み込んでいる)
「こちらがお客様の診断シートになります。お客様のリスク許容度はAですね」
「いや診断はいいので、日本の株式に投資する投資信託で、信託報酬が2%以下の商品があればパンフレットを持って帰りたいのですが」
「そうしましたら、こちらがお客様のリスク許容度に応じたポートフォリオです」
「いやポートフォリオはいいので、日本の株式に......」
「リスク許容度Aですと、日本株式の投資信託はポートフォリオ全体の4割程度でのご提案になります」
「はいはい。割合はいいので、ここに当たる投資信託の情報はもらえませんか」
「少々お待ちください......」

パンフレットがやっとでてくる。

「こちらがその商品ですね。日本大型株ファンド『愛称:護送船団』です。日本の大企業を中心に投資してまして、実績はかくかくしかじかです」
「日本株の投資信託はこれしかないのでしょうか? ほかの商品はありますか?」

奥に引っ込んで誰かに聞いている。ポートフォリオに示された商品だけの知識しかないらしい。

「もう1つこちらにも日本株の投資信託がありました」
「この2つはどう違うのでしょう?」
「え、と、少々お待ちください」
「いや、いいです。パンフレットだけもらって帰ります。あ、あと運用報告書もください」

これはあくまでフィクションです。しかし、商品説明にたどり着くまでにアンケートに答えさせられたり、リスク許容度を確かめるような質問が続いたり、すでに保有している投資商品をたずねられたり、ということが最近増えています。

もちろん、こんな面倒なやりとりなしに、普通に応対してくれる窓口ももちろんありますけれど。

最近ではホームページで投資信託の情報を開示している運用会社がほとんどです。「投資信託を調べるための情報源」でも紹介したWebサイトを活用したり、運用会社のWebサイトにいけば、ほとんどのことは分かります。それでも分からなければ、多くの運用会社ではメールや電話で問い合わができるようになっています。

僕は最近、分からないことを窓口で聞くのではなく、電話や電子メールで運用会社に問い合わせるようにしています。これなら余計なセールストークを聞くこともありませんし、なによりきちんと答えてくれることがほとんどです。

ある程度の知識を身に付けたなら、窓口での情報収集よりも、ネットや書籍や問い合わせによる情報収集のほうがずっと正確で効率がよい、というのが僕の結論です。

第3章 種類別、投資信託の特徴を知る
コラム:相談窓口で情報収集できたことなんてない
(最終更新 2008年8月17日)

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