第4章 良心的な投資信託の選び方
安いほうがいい! 信託財産留保額と保管費用
コストの中でも信託財産留保額と保管費用は大きな額ではないため、それほど重視する必要はないと思います。とはいえ、自分が払うお金の中から差し引かれるコストとして、この2つはどんなものなのか、知っておいたほうがいいでしょう。
信託財産留保額
投資信託を解約するときに差し引かれる手数料です。だいたい0.3%とか0.1%程度で、信託財産留保額がない投資信託もあります。
信託財産留保額は、いわば解約手数料のようなものです。投資信託を解約するということは、ファンドマネージャが投資信託の財産の一部、例えば株式などを売却して現金化しなければいけません。そのため、売却のための手数料を解約する人が負担するという趣旨でこの手数料が設定されています。ですから、償還時期がやってきた場合や運用側の都合で強制償還になった場合などでは信託財産留保額はとられません。
保管費用とそれ以外の費用
投資信託を運用していく上で発生する監査報酬や有価証券売買時の売買委託手数料、資産の保管費用などが当たります。運営会社によって「保管費用」や「諸経費」 「事務手数料」などの名称で呼ばれているようです。これも大きな金額ではありませんが、運用報告書などでときどきチェックしたほうがいいでしょう。
例として、日興アセットマネジメントの「年金積立 インデックスファンド海外株式(ヘッジなし)」の運用報告書、第六期「決算日 2007年10月26日」を見てみましょう。「1万口あたりの費用の明細、という項目に、かかった費用のすべてがまとめて載っています。
項目 | 金額(円) |
---|---|
信託報酬 (投信会社) (取扱会社) (受託銀行) | 141 (49) (81) (12) |
売買委託手数料 (株式) (先物・オプション等) (投資証券) | 10 (5) (5) (0) |
有価証券取引税等 (外国株式) (外国投資証券) | 15 (14) (0) |
保管費用・その他 | 26 |
合計 | 192 |
信託報酬以外にも、売買委託手数料、有価証券取引税、そして保管費用がかかっていることが分かります。例えば、保管費用・その他としては26円差し引かれています。決算日の時点での基準価格は1万口あたり1万6578円でしたので、26割1万6578で、1口あたりだいたい0.156%が保管費用と計算できます。
これらの費用はそれほど大きな額になることはありませんが、運用を開始したばかりの投資信託や、純資産が小さい投資信託(おおむね30億円以下)の場合には高い割合になることがあるので、念のため運用報告書でチェックしておいたほうがいいでしょう。
第4章 良心的な投資信託の選び方
安いほうがいい! 信託財産留保額と保管費用
(最終更新 2008年8月17日)
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