第5章 よい投資家になるためのテクニック
コラム:損するリスク、儲かるリスク
投資信託や株などの投資に関する文章の中には、「リスク」という言葉がよく登場します。リスクというと、一般的には「危険」につながるイメージがあります。金融商品に関して「リスクがある」というと、「損する危険がある」という意味でよく使われます。
ところが、リスクという言葉には「予想よりも儲かってしまう危険性」も含まれています(これを危険性と表現すべきかどうか分かりませんが)。つまり、リスクとは目標に対してぶれる幅が大きいかどうかを示すのであって、「株式は債券よりリスクが高い」という文は、「株式は債券よりも大きく値下がりしたり、値上がりしたりする可能性が高い」という意味を示しています。
分かりやすいように、リターンとリスクの関係をグラフにしたものを下記に示します。このグラフは、過去のデータをもとに、将来の期待リターンとリスクを予想しています。
このグラフで分かるように、期待リターンから上下にどれだけ外れる可能性があるか、という振れ幅の大きさがリスクなのです。リスクが小さければ、期待リターンを実現する可能性が高いですし、リスクが大きければ、期待リターンから外れる可能性が高いわけです。
リスクが高い金融商品とは、大損する可能性がある一方で、大儲けする可能性もある、ということです。よくいわれる「ハイリスク、ハイリターン」とはこのことなんですね。
ちなみに、なぜ目標に対してぶれる幅の大きさを、リスクというネガティブな言葉で表現するのでしょう。その理由は、現代ポートフォリオ理論が想定する投資家はこうした目標に対するブレを好まないと想定しているためだそうです。一方、オプション取引では、目標に対するぶれを好ましいと考える投資家を想定しているため、リスクに相当するぶれのことを"ボラティリティ"と表現しており、ネガティブな表現を使っていないとのことです。
第5章 よい投資家になるためのテクニック
コラム:損するリスク、儲かるリスク
(最終更新 2008年8月18日)
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