第3章 種類別、投資信託の特徴を知る

アクティブとインデックス、どちらを選ぶ?

投資信託は、アクティブ型とパッシブ型の2つに大別できます。ここではそれぞれの特徴と、どちらを選んだほうが有利だといえるのか、について考えて見ましょう。

アクティブ型は調査研究で実績向上を

アクティブ型の投資信託は、運用実績の向上を目指して運用会社が株式や債券などの投資対象の分析や調査などを行います。例えば、アナリストが企業を訪問して将来性を調査したり、経済を分析して成長分野を予測し、どの企業やどの分野に投資するのかを判断するのです。

こうした調査や研究といった手間をかけた運用になるため、アクティブ型の信託報酬は比較的高めになります。

インデックス型は市場平均に連動

インデックス型の投資信託は、日経平均やTOPIX(東証株価指数)やMSCIコクサイインデックス(日本を除く先進国の株価指数)といった、インデックス(指数)に連動することを目指します。アクティブ型と比較すると調査や研究のための手間がかからないため、信託報酬は比較的低めです。

インデックス型の運用方法には、完全法とサンプル法があります。完全法は、インデックスを構成する全銘柄に対して、インデックスの算出ルールと全く同じルールで組み入れる方法です。例えば、TOPIXに連動する場合、東京証券取引所の全銘柄をTOPIXと同じ重み入れで組み入れることになります。

サンプル法は、インデックスを構成する銘柄の中から一部の銘柄を選んで組み入れる方法です。一部の銘柄だけでいかにインデックスに連動させるか、銘柄の選び方や重み付けに工夫が必要となります。現実のインデックス型投資信託の運用では、サンプル法が広く使われているようです。

アクティブ型とインデックス型、どちらの方がいいのか?

アクティブ型の投資信託とインデックス型の投資信託のどちらを選んだほうがよいのか、については、いまでも多くの議論が巻き起こっています。議論の細部に入るとかなり複雑な話になるので、ここではインデックス型とアクティブ型を比較する際の基本的なポイントを抑えておくことにしましょう。

アクティブ型の投資信託は、銘柄の調査や研究を行ったうえで運用していくわけですから、よい運用結果が得られると思いがちです。しかし世の中にあるさまざまなアクティブ型投資信託の運用結果を集めたとき、その約半分は市場の平均を上回り、残りの約半分は市場の平均を下回る運命にあります。

一方で、インデックス型の投資信託はつねに市場平均と同一です。ということは、アクティブ型の約半分は、インデックス型の運用結果を下回っていることになります。

ただしこれは、運用コスト(僕たちにとっては実質的に信託報酬と同一)を差し引く前の話です。

一般的に、アクティブ型はインデックス型よりも運用コストよりも年1~2%高く設定されています。ですから、運用コストを差し引くと、半分よりも多くのアクティブ型投資信託がインデックス型の運用結果を下回ることになります。

つまり、あるアクティブ型投資信託を選んだとき、それがインデックス型の運用実績を下回る確率の方が高いのです。

コストを差し引くと、インデックス型の方が有利である

いま説明した「アクティブ型よりもインデックス型の投資信託を選ぶほうが有利だ」、という主張は、「ウォール街のランダムウォーカー」(バートン・マルキール 著)をはじめとするさまざまな書籍で詳しく論じられており、一般論として定着しているようです。

例えば、日本人の著書では、そのタイトルで話題にもなった「投資信託にだまされるな!」(竹川美奈子 著)で、「アクティブファンドがインデックスファンドに負けるのは、おもにコストが高いためです」と解説しています。

著名な米国の投資家ウォーレン・バフェット氏も、2007年5月に「コストが非常に低いインデックスは、アマチュアが運用する資金や専門家が運用する資金の大半に勝るだろう」と語り、インデックス投資が賢明だという認識を示しています。

スタンダード&プアーズが2006年に日本国内のアクティブ型とインデックス型の投資信託の比較をしたレポートでも、「アクティブ・ファンドの多くが長期的には市場平均を上回ることが困難であるという事実が日本でもほぼ証明されたと言える。」と結論付けています。

僕自身も、基本的にはインデックス型投資信託を選択すべきだという意見に賛成です。

もちろん異論もあります。さわかみ投信の澤上篤人氏は、週刊東洋経済(2008年7月5日号)のインタビューにこう答えています。「80~90年代は米国の株式市場を見ても異常にいい状態が続いた。NYダウは82年から00年までに15倍になっている。インデックス運用がよかった理由はそこにある。ただ00年以降は相場は難しくなっており、どちらの運用がいいのか新たな検証が必要だ。」

もしも、投資哲学に共鳴するとか、相場観が一致するといったはっきりした理由があれば、アクティブ型投資信託を選ぶ理由は十分にあると思います。しかし、そういった強い理由がないのであれば、基本的にはインデックス型投資信託を選択するのが合理的ではないでしょうか。

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アクティブとインデックス、どちらを選ぶ?
(最終更新 2008年8月17日)

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