第3章 種類別、投資信託の特徴を知る

コラム:MMFが元本割れする可能性

MMFは、銀行預金のように元本が保証されているわけではありません。元本割れするかもしれない、というリスクを抱えている代わりに、銀行預金よりも少し良い利率を得ているのです。

ただし、MMFは過去にほとんど元本割れしたことがないため「MMFは実質的には元本保証」とよく表現されます。

MMFが元本割れした最近の例は、2001年11月に起きました。米エネルギー業界の大手エンロン社が不正経理によって破綻。それに伴い、同社の社債の価値が大幅に下落して、社債を保有していた「日興MMF」「UFJパートナーズMMF」など5本のMMFが元本割れを起こしたのです。当時、エンロン社の不正経理による破綻は、米国の産業界を大きく揺るがす大ニュースでした。

MMFの元本割れが投資信託業界に与えた影響は大きく、「MMFは実質的に元本保証」という評判を大きく傷つけることになりました。そこで、証券業界ではこれを教訓に、MMFが二度と元本割れを起こさないように運用ルールを改善しました。そして、これ以来MMFの元本割れは起きていません。

運用が改善されたとはいえ、もちろんMMFが再び元本割れする可能性が全くなくなったわけではありません。リスクを完全に押さえ込もうとすると、元本保証である銀行の普通預金並の利率になってしまうはずだからです。。

しかし2001年の元本割れ以後、再び「実質的に元本保証」の評判を取り戻すべくMMFは着実に実績を積み重ねてきました。2006年7月には、元本割れを起こして償還されて以来商品として消えていた日興MMFも復活しています。

2008年には米国でサブプライムローン問題が発生し、MMFの運用環境は悪くなっています。再びMMFは元本割れするのではないか、といった憶測も流れている中、「実質的に元本保証」という評判をMMFはぜひ守り続けてほしいものです。


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(最終更新 2008年8月17日)

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