第6章 アセットアロケーションとポートフォリオを設計する

アセットアロケーションを考える前に考えること

アセットアロケーションを設計するには、自分がとれるリスクはどれくらいか、どの程度の期待リターンにしたいか、といった目安が求められます。そのためには、資産運用の手順に沿って考えていくのがよいでしょう。

資産運用のための手順

1. 投資の目的を考える
目的は特になくても投資は始められます。しかし、投資の目的が将来の教育資金のためなのか、住宅資金のためなのか、老後資金なのか、それともありあまる余裕資金でリスクをとってみたいのか、あらかじめ目的を想定しておけば、投資期間やとれるリスクの大きさなどの目安を決めておくことができます。その方が、目的に合致した資産運用を設計できるはずです。

2. 資金配分(キャピタルアロケーション)の決定
まず、自分の資金のうちいくらを手元に残して、いくらを投資に回すのかを決めます。1年分の生活費を手元に残しておきたい場合もあれば、3年分の家族の生活費かもしれませんし、半年分かもしれません。人によって、いくらを投資に回せるのかは違ってくるでしょう。手元に残しておく資金は、普通預金やMRF、MMFなどの流動性が高くて安全な運用をしておきます。

3. 資産配分(アセットアロケーション)の決定
投資に回せるお金に対して、自分がとれるリスクの範囲内で高い期待リターンになるよう、アセットアロケーションを決めます。基本的な資産クラスとして、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券がありますので、この4つの割合を考えれば十分でしょう。リスクがとれて、5年以上の長期間投資ができるなら、高い期待リターンになるように国内株式や外国株式の割合を高く、あまりリスクがとりたくないなら、債券の割合を高くする、といった調整で自分なりのアセットアロケーションを考えます。「投資信託の道具箱|ファンドの海」では、こうしたアセットアロケーションから期待リターンとリスクを計算するツールを提供していますので、いろいろ試してみてください。

4. 銘柄選択(セキュリティセレクション)を行い、ポートフォリオを決定する
最後に行うのが、銘柄選択。つまり具体的にどの投資信託を選ぶのかを決めます。国内株式の投資信託であれば、フィデリティの日本成長株ファンドにするのか、野村のノムラ日本株戦略ファンドにするのか、さわかみファンドにするのか、はたまたインデックス型でTOPIXに連動する大和トピックスインデックスファンドにするのかを、選んでいきます。同じようにして、国内債券、外国株式、外国債券に投資するための具体的な商品を選んでいきましょう。

5. 長期保有、継続投資で長期投資する
相場のよいときも悪いときも一喜一憂せずに乗り越え、複利の効果を生かすために、長期で運用していきましょう。

投資信託を選ぶのは一番最後でいい

この投資信託ガイドでさんざん投資信託の特徴や良心的な投資信託の選ぶ方を説明してきましたが、実はそれは一番最後に考えればいいことだったんです。

もちろん、資金配分やアセットアロケーションのことを考えず、とりあえずよさそうな投資信託を何本か買ってみる、という風に投資を始めても何の問題もありません。しかし、もし何らかの目的をもって資産運用するのであれば、その目的とそれにあったアセットアロケーションを考えてみてはいかがでしょうか。

第6章 アセットアロケーションとポートフォリオを設計する
アセットアロケーションを考える前に考えること
(最終更新 2008年8月30日)

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