第1章 いますぐ分かる投資信託

投資信託でどのくらい増やせるの?

投資信託に投資した場合、どれくらいの期間でどれだけお金を増やすことができるのでしょうか。

過去5年のベスト5は30%程度の上昇

いちばんうまくいった例として、過去の実際の実績をみてみることにしましょう。下記は、国内株式に投資する投資信託の過去5年間の実績ベスト5です。

1(ターゲットインデックスS) G鉄鋼、造船 大和 31.61%
2(業種選択F) G鉄鋼・造船日興28.83%
3(業種別インデックスSF) G鉄鋼・造船・金属野村27.62%
4(フィデリティSF) 金融サービス フィデリティ26.90%
5住信 次世代ファンド 『愛称 : 次世代』住信24.69%
出典:モーニングスター「5年トータルランキング 国内株式型」2008年6月末

この5年間では鉄鋼や造船の分野が強かったことが分かります。そして実績としては5年で30%弱ほど資産を増やすことができたことが分かります。

今度は、海外株式に投資する投資信託の過去5年間の実績ベスト5を見てみましょう。

1(オーロラII) 東欧投資F野村34.69%
2三井住友・ニュー・チャイナ・ファンド三井住友33.53%
3HSBC チャイナオープンHSBC32.11%
4チャイナオープン野村31.84%
5JF チャイナ・ファンド 『愛称 : 昇龍』JPモルガン30.64%
出典:モーニングスター「5年トータルランキング 国際株式型」2008年6月末

1位のトルコ以外はすべて中国に投資する投資信託が占めていますから、海外の過去5年では、やはり中国の成長が抜きん出ていたようですね。5年で30%強ほど資産を増やしたことが分かります。

さて、この2つで分かることは、5年前にもしもこれらの優れた実績を持つ投資信託を選んで投資したとしたら、そのお金は30%程度増えている、ということです。ただし、これは最もすぐれた投資信託を選べた場合の話であって、国内には2000種類以上の投資信託がありますから、そのなかからベストの1本を的確に予想するのが困難なことは明らかです。

長期で見れば平均で年3%から6%程度

では、平均的な投資信託というのはどれくらいお金を増やせるものなのでしょう? 参考のために、国内の国民年金や厚生年金の運用をしている年金積立金管理運用独立行政法人が、過去20年から30年のデータを用いて分析した期待リターンを見てみましょう。

 
資産クラス期待リターン
国内債券2.8%
国内株式5.3%
外国債券3.4%
外国株式6.0%
出典:年金積立金管理運用独立行政法人「基本ポートフォリオの検証について 第19回運用委員会資料1」

このように、国内や海外の株式や債券に投資すると、長期では年間3%から6%程度ずつお金が増えていくと予想されています。一般に、多くの投資信託も、ほぼこうした期待リターンとそれほど変わらないものだと考えてよいでしょう。

多くの投資信託は一般に、数年で2倍や3倍といった大きな増え方はしません。もちろん、例えば2000年頃から国内で発生したITバブルが発生したケースなど、過去には数年で2倍以上にもなった投資信託もありました(一方でライブドアショック後には、こうした投資信託は急速に下落していきました)。

平均的に、しかも長期で考えれば、適切に分散投資した投資では市場に連動して年に3~6%ずつ上昇していく、と考えるのがよいと思います。そして市場が順調なときばかりではありませんので、市場が低迷した場合、投資したお金の3割から5割程度が失われてしまう可能性がある、ということも考慮にいれておいたほうがいいでしょう。

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投資信託でどのくらい増やせるの?
(最終更新 2008年8月11日)

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