第5章 よい投資家になるためのテクニック
継続投資もしくはドル・コスト平均法
毎月毎月、継続的に投資信託を購入し続ける「ドル・コスト平均法」も、リスクを抑える投資法としてよく利用されています。
一括投資だと高値づかみのリスクが
まとまった資金をある時期に一括投入して投資信託を購入すると、「高値づかみ」をしてしまうリスクがあります。
例えばもし、2006年の夏のボーナス時期に、一括で30万円を日本株の投資信託に投資してしまったとしたらどうでしょう。その頃の日経平均は約1万 8000円でした。ご存じのようにその後日経平均はどんどんと下がっていき(原稿執筆時の2008年現在ではまだ戻っておらず)、ふたたび1万8000円を上回るまでは辛抱強く待ち続けなければなりません。
しかし逆に、2008年の夏のボーナス時期に一括投資できたのなら、その頃の日経平均は1万2000円台。運良く安値を拾えたことになり、今後の値上がりを楽しみに待つことができます。
つまり、一括投資は高値づかみの可能性がある一方で、安値を拾える可能性もあるのです。
ドル・コスト平均法なら購入価格を平均以下に抑えられる
一方で、コツコツと積み立てのように毎月投資をし続ける「ドル・コスト平均法」では、高値づかみをする心配はありません。高値づかみで大損するリスクを減らしますが、同時に安値を拾えって大儲けするチャンスもなくなります。
その代わり、投資を続けている期間全体に渡って一定価格で買い付けているおかげで、基準価格が安いときは多めに買い付けることになり、基準価格が高いときは少なめの買い付けになるため、購入価格を運用期間中の基準価格の平均より低めに抑えることができるのです。
ここでのポイントは、ドル・コスト平均法はリスクを抑えるための投資法であるという点です。いくつかの雑誌や書籍の解説では、ドル・コスト平均法は購入価格を低く抑えられるため他の投資法より有利だといわれていますが、それは間違いです。有利でも不利でもなく、高値づかみのリスクを減らす方法なのです。
ドル・コスト平均法のもう1つのメリット
ドル・コスト平均法には、もう1つ大きなメリットがあります。それは「欲や恐怖心に勝つためのツール」として使える、ということです。
市場が上昇し、投資信託の基準価格も順調に上昇しているのを見ると、つい欲が出て多めに投資したくならないでしょうか?一方で、市場が低迷して投資信託の基準価格が下がり続けているとき、「これ以上損をしたくない」と思って継続して投資するのを止めたくならないでしょうか?
こうした 「もっと儲けたい」「これ以上損したくない」という欲や恐怖心から出た判断は、リスクを増やすことはあっても、運用結果の向上に結びつくとは思えません。少なくとも合理的な判断ではありません。
欲張らず、恐怖にかられず、感情的な判断に左右されずに、毎月決まった額を投資するというポリシーを貫いてコツコツと投資を続ける。そのためのツールとして、ドル・コスト法は非常に使える投資法だと僕は思っています。
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第5章 よい投資家になるためのテクニック
継続投資もしくはドル・コスト平均法
(最終更新 2008年8月18日)
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